ポケベルが震えた午後
ただの数字に 息を止めた
短い言葉じゃ足りなくて
気持ちは いつもすれ違ってた
交差点の向こうに
あなたの姿を見た
声をかける理由さえ
時間の奥に隠れてた
「好きだった」それだけで
時間は止まってくれなくて
あの日の私を 何度もなぞってる
あなたを 好きでいられた
それだけで 精一杯だった
電話ボックスの窓に映る
ふたりじゃない今が苦しい
ポケベルの合図だけで
信じ合えたあの頃
もう触れられない
やわらかなあの日のぬくもり
笑っていた横顔も
たぶん今は誰かの隣
なのに、まだ癖で
あの路地を曲がってしまう
コートのポケットの奥
折りたたんだレシート
あなたが買った本のタイトル
まだ読めずにいる
あのときちゃんと
伝えられていたら
未来は違っていたかな?
あなたを 好きだったこと
なかったことにできなくて
繰り返すベルの響きに
こたえが滲んでいく
駅のホームに立って
今日も 名前を探してる
もう届かないのに
心が まだほどけない
イチヨンイチゼロロク(I love you)
誰にも言えなかった
たった5つの数字で
人生が変わるなんて
あなたを 好きでいられた
それだけが 私の証だった
電話ボックスの影に残る
やさしさが 少しだけ痛い
ポケベルの沈黙さえ
今は 思い出に変わる
ひとつずつ 手放しても
あなたはずっと
そこにいる
光る画面にはもう
何も届かない
合図と合言葉
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